シンカナウスより-前編

二章 欠陥だらけの殺戮人形(キリングドール)-4

 動揺も収まり切らぬまま、μ(ミュウ)はドリウスに向き合った。早く、彼を倒さなければ、エメレオの身が危ない。 だが――倒すということは、殺す、ということだ。後顧の憂いを絶つのならば、ここで仕留めなければならない。 やはり、決断の時なのだ――…

二章 欠陥だらけの殺戮人形(キリングドール)-3

 そして気づけば、μ(ミュウ)の目の前まで彼は肉薄していた。「っ!」 今までにない速さに、反応し切れなかった。(いや、違う) 即座に頭が否定した。(今まで、本気で動いていなかった――ッ!?) 腹に砲撃のような蹴りを受け、μはまともに吹き飛ん…

二章 欠陥だらけの殺戮人形(キリングドール)-2

 アンドロイドにもフレーバーとしての個性はある。しかし、μ(ミュウ)たちほど癖や個性を発現したアンドロイドは他にはいないと、施設の技師たちから聞いたことがある。警護任務に着くタイプのアンドロイドは何度か学習訓練で見たことがあるものの、これほ…